自分が運営しているサイトの1つに、出版関連のニュースを自動収集する「
Bookmix News」というがあるんですが、最近はやはり「電子出版」に関するニュースがよく集まってきます。
たしかに景気のいい話も多いので面白い分野ではあるのですが、ビジネスとして成立してきたのを受けて、お金の分配、つまりは印税率に関する話題も増えてきました。
15%は安すぎるとか、うちは最大50%だとか、まぁいろんな話があるわけですが、実際のところはどうなんでしょう?印税率だけで考えていいのかな?
ということで、まとめてみました。

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左からまずはブクログの「パブー」(
http://p.booklog.jp/)。これはネットサービス会社paperboy & co.が運営する電子出版プラットフォームです。CGMサービスを数多く手がけているだけあって、さすがにサイトの出来はかなりのもの。Webブラウザ上で動作するGUIエディタも用意されているので、ブログを書ける程度のスキルさえあれば、電子書籍を出版することができます。印税率も70%と最高レベルで、その他の費用もかかりません。今のところは、日本で最高の電子出版プラットフォームなんじゃないでしょうか。有名人の作ったコンテンツをフューチャーするといったプロモーションも行なわれていて、ニコニコ動画のように化けるのではないかという期待も持てます。
次に「Kindleストア」(
http://www.amazon.com/kindlestore)ですが、これは世界最大のECサイトAmazon.comによる電子出版プラットフォームです。日本語版はまだ始まっていませんが、画像化すれば日本語のコンテンツもリリース可能だそうです。
Kindle出版顛末記 その1 Uploadまで
http://hidebook.seesaa.net/article/137131017.html日本初? kindleで日本語漫画を出してみよう企画
http://blog.chabudai.com/?eid=912037 近々始まるという日本語版では印税率35%のコースしか用意されないのではないかと言われていますが、印税率だけで比較してパブーより魅力がないかというとそうとも言い切れません。国内だけでも膨大な数に上るであろうAmazon.co.jpのユーザーが、ユーザー登録を行なうことなく、普段の買い物と同じ感覚で購入できるとすれば、印税率は半分でも部数は倍以上になる可能性が十分にあります。Amazonの販売力をもってすれば、10倍や20倍もあるかもしれません。実際、英語圏での事例ではありますが、累計販売部数が100万部を超えた著者もいるようです。
Kindleから累計100万部作家が誕生
http://japanese.engadget.com/2010/07/30/kindle-100/ そして、3番目の「AppStore」(
http://www.apple.com/jp/iphone/apps-for-iphone/)は、iPhoneやiPadで話題のAppleが運営するアプリケーション販売プラットフォームです。AppleはiBookStoreというサービスも提供していますが、日本国内向けにはまだ有料書籍を販売することができません。
そこで、AppStoreとなるわけですが、一番の難関はやはりiPhoneアプリを開発しなければならないところでしょう。iPhoneアプリの開発はWebサイト等と比べるとやや難易度が高く、年間10,800円の固定費もかかるので、なかなか手を出しにくいプラットフォームではあります。
ただ、iPhoneアプリの開発ができるなら、悪いプラットフォームではありません。何といっても注目度が高い。印税率も70%あります。数万本単位でダウンロードされた電子書籍系アプリの事例もいくつかあり、ビジネス的として急速に立ち上がりつつあります。
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/023/23374/http://news.walkerplus.com/2009/0405/7/http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000001346.html 4番目のDLsite.com(
http://home.dlsite.com/)は、同人ゲーム、同人誌に特化したコンテンツ販売サイトです。なんでここでこのサイトを?という感じですが、実は1,700円以上の価格帯で印税率が70%を超えます。
DLsite.com サークル登録ページ
http://home.dlsite.com/circle/invite 実際のところ平均的な同人誌の価格は500円程度なのでここまでの印税率になることはほとんどありませんし、ランキングページに表示されている販売本数を見ると多くても月に300部程度しか売れないようなのですが、紙の同人誌を着払いで郵送すると電子化から販売まで無料でやってくれたりします。
パピレスといった他のコンテンツ販売サイトへの配信も行なってくれるそうなので、趣味で作った同人誌を売るなら悪い選択肢ではないでしょう。
DLsite.com 月間ランキングページ
http://home.dlsite.com/ranking/monthDLsite.com 他店舗販売について
http://home.dlsite.com/circle/approval 5番目の「漫画 on Web」(
http://mangaonweb.com/welcome.do)は、「ブラックジャックによろしく」「海猿」などで有名な人気漫画家、佐藤秀峰氏が運営する電子出版プラットフォームです。売り上げ100%還元をうたっていますが、実際には5〜20%の「決済手数料」がかかります。ほかのサービスと同じ基準で言うところの印税率は、100%ではなく80〜95%ということです。
また、結構な額の固定費がかかります。一番安い「DEBUTプラン」の初期費用は無料ですが、月額費用は5,250円(年換算63,000円)です。アップロード容量が150MBを超えた場合は「PRO」プランを利用する必要があり、こちらの初期費用は31,500円、月額費用は15,750円(年換算189,000円)となっています。また、アップロード容量が3GBを超えると1GBごとに月額5,250円必要になり、さらに、アップロード容量とは無関係にアップロード用ツールの使用料として月額10,500円かかります。アップロード容量が150MBを超えると、年に最低でも315,000円かかるということです。
漫画 on Web 詳細資料(下記URL最下部のリンクをクリック)
https://mangaonweb.com/newCreatorPageTop.do 一方で、売れ行きに関しては、平均で月に数千円程度だと言います。人気漫画家の佐藤氏でも月50万円程度とのことなので、普通に考えれば手を出すべきプラットフォームではないでしょう。
「ブラよろ」無料公開の効果は 佐藤秀峰さん、赤裸々な数字明かす
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1010/26/news084.html 6番目の「アゴラブックス」(
http://www.agora-books.com/)は、評論家の池田信夫氏が運営する電子出版プラットフォームです。印税率「最大50%」を売りにしていますが、逆に言うと印税率が50%を超えることはないということです。パブーやAppStore、DLsiteなどほかのプラットフォームと比べて、印税率が高いとは言えません。
さらに、受け付ける書籍は過去にほかの出版社から刊行されたもののみで、査読も行なうと言います。つまり、既に商品レベルに達していて、売れそうな本でなければ相手にしてもらえないということです。
その上、下のURLを見ると、版元との交渉・契約・編集などを行なう場合は「事務手数料」を徴収すると書いてあります。いくらになるかはわかりませんが、それなりの人が交渉までして1万円、2万円ってことはないでしょう。怖くてちょっと手が出せません。
アゴラブックス 出版申し込み
http://corporate.agora-books.com/form/ 結局、個人で電子書籍を出すならば、
・現時点ではブクログのパブーがたぶんベストの選択
・Kindleストアは日本語版の開始に期待
・スキルによってはAppStore、DLSite.comもアリ
・漫画 on Webに手を出すのはやめとけ
・アゴラブックスの条件は良くない
といった感じでしょうか。もちろん、どれか1つだけを選ばなければならないということはないので、iPhoneアプリの開発ができて、オタク向けのコンテンツも作れる人が、パブーとAppStoreとDLsiteの3つでリリースするというのもありだと思います。
ただ、個人でも利用できる電子出版プラットフォームがあるからといって、すべてを個人でやることがいいことなのかどうかは別の話です。電子書籍に限っても、出版社経由でなければ利用できないプラットフォームがたくさんあります。
理想書店
http://www.dotbook.jp/store/eBook Japan
http://www.ebookjapan.jp/電子文庫パブリ
http://www.paburi.com/電子書店パピレス
http://www.papy.co.jp/ソク読み
http://sokuyomi.jp/ビューン
http://www.viewn.co.jp/Fujisan.co.jp
http://www.fujisan.co.jp/マガストア
http://www.magastore.jp/T-Time touch(iPhoneアプリ制作ツール。実績多数)
http://www.voyager.co.jp/hodo/080717_hodo.htmlMCBook(iPhoneアプリ制作ツール。実績多数)
http://www.morisawa.co.jp/biz/products/main/device/mcbook/ 出版社と一緒にやれば、制作面でのサポートや印税先払いによるリスクファイナンス、地道な営業活動による書店店頭での露出確保といった恩恵も受けられます。印税率が低くても出版社とやれるならそうしたほうが、最終的な結果は良くなる可能性が高いでしょう。
また、どの程度のサポートが得られるかは出版社によって(編集者によっても)違うので一概に言えませんが、講談社がやってくれるなら印税率15%でも、そんなに悪い取引じゃないんじゃないかと思うんですがどうでしょう?逆にアゴラブックスだと50%でも高い。個人的には、電子書籍の印税率は、出版社の力量によって15〜25%くらいに落ち着くんじゃないかと思ってたりもします。
というこで、だれか印税率20%くらいでiPhoneアプリ用の原稿書いてくんねーかなー(そこかよっ)。印税の先払いとかはできなくて、いわゆる電子書籍とは一味違うアプリにも出来まっせーくらいしか言えないあたりがツラいところではあるけれども。